7±2数字記憶スパンテスト

No. 01

ワーキングメモリと数字スパン — 7±2から4±1まで

数字スパンが何を測っているのか、Miller の「マジカルナンバー7±2」と Cowan の「4±1」がそれぞれどんな条件での数値なのかを、研究の原典をもとに整理しました。

電話番号を聞いてダイヤルするまで頭の中に保っておく力、暗算の途中で途中の値を忘れない力を、心理学ではワーキングメモリ(working memory、作動記憶)と呼びます。一時的にしまっておく保管庫というより、しまったものをすぐに使ったり組み替えたりする作業台に近いものです。

ワーキングメモリという考え方

Baddeley と Hitch(1974)は、短期記憶を一つの箱ではなく、いくつかの部品からなるシステムとして説明しました。音声を心の中で繰り返して保つ音韻ループ、形や位置を保つ視空間スケッチパッド、両者を調整して注意を振り分ける中央実行系です。Baddeley(2000)はさらに、情報を一つの場面としてまとめるエピソード・バッファを加えました。

数字を聞いて復唱する課題は、主に音韻ループに頼っています。数字を心の中で繰り返しているあいだは記憶が保たれ、繰り返し(リハーサル)が途切れると数秒でぼやけていきます。

数字スパン課題の歴史

数字スパンを初めて体系的に測ったのは Joseph Jacobs(1887)だとされています。彼は学生にだんだん長くなる数字の列を聞かせ、間違えずに復唱できる最大の長さを記録しました。方法が単純で道具も要らないため、その後、知能検査や神経心理検査に数唱の下位検査が取り入れられ、今も広く使われています。

Miller の「マジカルナンバー7±2」

George A. Miller(1956)は、絶対判断の実験と即時記憶の実験を検討し、人が一度に扱える項目の数が、さまざまな課題でおおむね7個前後に集まると指摘しました。論文のタイトル「The Magical Number Seven, Plus or Minus Two」が有名になり、「7±2」は記憶容量の代名詞になりました。

Miller がより重視したのは、数そのものよりもチャンク(chunk)という単位でした。記憶の範囲は情報量(ビット)ではなく意味のあるまとまりの数で制限されるので、項目を大きなまとまりにまとめ直せば、同じ範囲により多くの情報を収められる、という考え方です。本人も「7」という一致はやや修辞的なものだと認めていました。

Cowan の「4±1」

Nelson Cowan(2001)は多くの研究を改めて検討し、リハーサルやまとめ上げを妨げた条件では、一度に注意の中に保てる項目は3〜5個、おおよそ4個だと提案しました。数字スパン課題で7前後という結果が出るのは、純粋な保持容量に、心の中での繰り返しや自然なまとめ上げが加わった結果だという解釈です。

数値提唱条件何を指すか
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7±2Miller (1956)リハーサル・まとめ上げを妨げない即時記憶記憶範囲(項目またはチャンクの数)
4±1Cowan (2001)リハーサル・まとめ上げを抑えた条件注意の焦点に同時に収まるチャンクの数

二つの数値はどちらかが間違っているのではなく、測っている条件が違うのです。このサイトのテストはリハーサルやまとめ上げを妨げないので、Miller 側の条件に近いと言えます。

数字スパンの点数の読み方

出典:Jacobs (1887) Mind 12:75–79 · Miller (1956) Psychological Review 63(2):81–97 · Baddeley & Hitch (1974) Psychology of Learning and Motivation 8:47–89 · Baddeley (2000) Trends in Cognitive Sciences 4(11):417–423 · Cowan (2001) Behavioral and Brain Sciences 24(1):87–114

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