7±2数字記憶スパンテスト

No. 06

言語によって数字スパンが変わる理由

中国語話者の数字スパンが英語話者より長かった研究、ウェールズ語で測ると短くなった研究。数字の名前の発音の長さが記憶範囲を変える仕組みをまとめました。

数字スパンは「何桁」という数で表されますが、実際に頭の中で繰り返しているのは数字の名前、つまり音声です。そのため、どの言語で数字を思い浮かべるかによって、覚えられる桁数が変わります。

約2秒分の音声

Baddeley、Thomson、Buchanan(1975)は、短い単語のリストのほうが長い単語のリストよりたくさん覚えられるという語長効果を報告しました。人はおおむね、約2秒で声に出して読める量を覚えていました。音韻ループは項目の数よりも、繰り返しにかかる時間によって制限されるという解釈です。

ウェールズ語と英語

Ellis と Hennelly(1980)は、ウェールズ語と英語の両方を話す子どもを調べました。ウェールズ語の数字の名前は英語より発音に時間がかかり、同じ子どもがウェールズ語で数字スパンを測ると短くなりました。研究者たちは、ウェールズ語版の知能検査で数唱の点数が低く出ていた現象をこれで説明しました。知能の差ではなく、数字の名前の長さの差だったというわけです。

中国語と英語

Stigler、Lee、Stevenson(1986)は、中国語話者と英語話者の数字の記憶を比べました。中国語の数字の名前はすべて1音節で短く発音でき、中国語話者の数字スパンのほうが長くなりました。研究者たちはこれを、時間によって制限される記憶貯蔵の証拠と考えました。

複数の言語の比較

Naveh-Benjamin と Ayres(1986)は、英語、スペイン語、ヘブライ語、アラビア語の話者を比べ、数字の名前を読む速さが速い言語ほど数字スパンが長い傾向を報告しました。

言語数字の名前の例(1〜5)特徴
---------
韓国語(漢数詞)일, 이, 삼, 사, 오すべて1音節
中国語yī, èr, sān, sì, wǔすべて1音節
日本語いち, に, さん, し/よん, ご1〜2音節、読み方が二つある数字がある
英語one, two, three, four, five1音節が多く、seven・zero は2音節
スペイン語uno, dos, tres, cuatro, cinco2音節が混ざる

上の表の音節数は発音の長さを見積もる手がかりにすぎず、言語ごとの数字スパンをこの表で直接比べた研究の数値ではありません。

このサイトにとっての意味

出典:Baddeley, Thomson & Buchanan (1975) Journal of Verbal Learning and Verbal Behavior 14(6):575–589 · Ellis & Hennelly (1980) British Journal of Psychology 71(1):43–51 · Stigler, Lee & Stevenson (1986) Cognition 23(1):1–20 · Naveh-Benjamin & Ayres (1986) Quarterly Journal of Experimental Psychology 38A(4):739–751

聞き取りモードで測る →