No. 02
順唱と逆唱の数字スパン — 何が違うのか
聞いた順番どおりに復唱する順唱と、逆から言う逆唱では、求められる働きが違います。二つの課題が測るもの、よくある方略と間違いを比べました。
数字スパン課題には二つの方向があります。順唱(forward)は提示された順番そのままに、逆唱(backward)は最後の数字から逆の順番に再生します。同じ数字の列でも、逆に言うように言われると急に難しくなります。二つは同じ記憶を使いながらも、求められる働きが違うからです。
順唱が求めるもの
順唱では、数字の列を聞いたとおりに保っておき、そのまま出せば済みます。心の中で繰り返す音韻ループがほとんどの仕事をします。そのため順唱のスパンは、注意を向けて短い順序情報を保つ力を比較的そのまま映し出します。
逆唱で加わるもの
逆唱では、数字の列を保ちながら、同時に順番をひっくり返さなければなりません。後ろから一つずつ取り出すあいだも、まだ取り出していない前半の数字を保ち続ける必要があるため、保持と操作が同時に起こります。そのため逆唱は、ワーキングメモリの操作(中央実行系)の側面をより多く求める課題と解釈されています。ほとんどの人で、逆唱のスパンは順唱より短くなります。
| 比較 | 順唱 | 逆唱 |
|---|---|---|
| --- | --- | --- |
| すべきこと | 順番どおりに保持 → そのまま出力 | 保持 + 順番の反転 → 出力 |
| 主に頼る機能 | 音韻ループ(心の中での復唱) | 音韻ループ + 中央実行系(操作) |
| よくある方略 | リズムをつけて復唱、3〜4桁ずつまとめる | 数字を頭の中の画面に浮かべて後ろから読む、小さなまとまりごとに反転 |
| よくある間違い | 真ん中の桁の順番の入れ替わり、1桁の抜け | まとまりの中では順方向のまま出してしまう、前半の数字を忘れる |
標準検査ではどう使われるか
ウェクスラー成人知能検査第4版(WAIS-IV)の数唱は、順唱、逆唱、そして並べ替え(聞いた数字を小さい順に言う)の三つの課題で構成されています。臨床では順唱と逆唱の点数を別々に見ることもあり、片方だけが特に低い場合に、注意や保持の問題なのか、操作の問題なのかの仮説を立てる手がかりにします。ただしこうした解釈は、標準の手順・基準・ほかの検査結果を合わせて専門家が行うもので、このサイトの点数でできることではありません。
逆唱を解くときに役立つこと
- まず順方向で確実に保つ:反転に気を取られて前半の数字を失うことがよくあります。提示されているあいだは、順番どおりに心の中で繰り返すことに集中しましょう。
- 小さなまとまりで反転する:7桁なら3と4に分け、後ろのまとまりを先に反転して入力し、続けて前のまとまりを反転して入力します。
- 頭の中の画面を使う:数字を一列に思い浮かべ、右端から読んでいくやり方が合う人もいます。一括表示モードで練習してみてください。
点数の差をどう見るか
順唱と逆唱の点数の差そのものは人によって違い、提示方法(見る・聞く)や速さによっても変わります。このサイトは二つの方向の自己ベストと平均を別々に保存するので、同じ設定でそれぞれ繰り返し、自分の推移を比べるのに使ってください。
出典:Baddeley & Hitch (1974) · Wechsler, D. (2008) WAIS-IV Technical and Interpretive Manual, Pearson · Lezak, M. D. ほか (2012) Neuropsychological Assessment 第5版, Oxford University Press